中田敬吾理事長からの挨拶
大阪の中心部に位置する大阪診療所は母子を中心とした家族の健康を柔軟な漢方治療で守るという信念の元、患者様のサポートに取り組んでいます。
唐の時代の医学書『千金要方』では世の中の人を健康にするためにはこれからを担う子供を健康にすることが大切であり、そのためには産み育てる母親が健康なことが最も大切であると記述されています。このような考えのもと、当院では女性の健康に奉仕する治療医学として漢方治療を行なっております。
また、子どもの治療において妊娠中の胎児の治療にも力を注いでおります。
妊娠中は西洋医学では薬を極力減らしていきますが、漢方では胎児をマイナス1歳と考えて積極的に処方していきます。目に見えないほど小さな受精卵が、完成したからだへ成長していく10ヶ月が将来に対して影響を与るため、妊娠中の子宮内の環境を整えることが胎児のより良い成長につながります。
胎児は生まれたばかりの時期は免疫力が低く、熱を出したりアトピー性皮膚炎を生じたりすることもありますが、妊娠中の漢方薬治療により免疫力を高めることでそうした症状を防ぐことが可能です。また、成長して外で遊ぶようになると発症する、虫刺されや感染症、アレルギーなどによる皮膚のトラブルには黄耆建中湯で対応します。虚弱な子どもの発育を促すためには、飴が入っていて飲みやすい小建中湯も処方しております。
また必要に応じて鍼灸の治療も活用し、乳児の夜泣きやある程度成長しても続く夜尿症に対して効果を発揮しています。皮膚を擦るだけの針や、直接皮膚に灸を接触させない関節灸を用いるため、子どもも怖がらずに鍼灸治療を受けることが可能です。
高齢者に対しても、慢性疾患の悪化を防ぎつつ日常生活を健康的に送れるように治療を行なっています。例えば「妙効三粒丸」と名付けた高級生薬を使用した漢方薬は、心臓を強くし脳への血液の循環を整えるため、加齢に伴い体力が低下している高齢者でも疲れにくくなり脳の活性化も期待できます。他に難聴や不眠、さらにはがんに対して免疫力を高める効果や抗がん剤の副作用を抑える効果のある漢方薬などで、標準治療を補いつつ患者の寿命延命を目指しています。
また、日常的な怪我や病気には、早期に治療すると高い効果が得られるため常備薬を用意するように勧めております。例えば乾燥によるアトピー性皮膚炎および、皮膚の傷や火傷などには紫雲膏、風邪に対しては喉の症状に効く葛根湯をベースに胃を守る半夏を加えた漢方薬を処方しています。
このように漢方医療は胎児から高齢者、日常使いなど対応力に富んでおり、上手に利用することで有益な効果が得られます。
当院では根本である母親の治療を軸に、家族全員を健康にすることにこれからも貢献し続けてまいります。
中田 敬吾(なかた けいご)理事長
【医療法人 聖光園 細野診療所 大阪診療所 責任者】
昭和45年 京都大学医学部卒。卒業後京都大学医学部付属病院内科にて2年間の研修を経て昭和47年聖光園細野診療所に入所、故細野史郎(聖光園細野診療所創設者)、坂口弘医師に師事し漢方研究に従事する。
昭和50年 京都大学医学部大学院に入学、胆道系の自律神経支配とプロスタグランディンの研究で昭和56年博士号を授かる。
平成20年 森ノ宮医療大学鍼灸学部の初代教授に就任。
平成21年 日本東洋医学会副会長に就任。(~23年6月まで)
平成22年2月 第15回国際東洋医学会学術総会(ICOM)の会頭を務める。学術総会開催中の国際東洋医学会理事会において国際東洋医学会会長に推されて会長に就任し、平成23年11月まで会長を務める。
平成24年6月 日本東洋医学会学術総会会頭を務める。
平成24年8月 聖光園細野診療所理事長に就任する。
平成25年11月 国際東洋医学会会長に再就任、(平成29年6月まで会長を務める)
その他昭和59年から長年日本東洋医学会の理事を務め、関西支部代表理事として東洋医学会の指導的役割を果してきた。また日本東洋医学会の理事会の特別委員会「漢薬原料調査委員会」の委員長を務め、消滅の恐れのある重要漢方生薬の種苗保存栽培に尽力してきた。
現在日本東洋医学会名誉会員、国際東洋医学会名誉会長。
また京都大学柔道部OBで構成する京都大学学士柔道会会長をつとめている。(柔道4段)